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慶応女子高の紀要論文執筆のきっかけに
Updated: Feb 3, 2020

慶応義塾女子高校 音楽講師の小川枝里子先生(高校3年生・器楽授業担当)が、紀要論文を送ってくださいました。タイトルは『学校教育における授業《器楽》についての考察』→紀要抜刷のPDFはこちら
戦後の高等学校教育のカリキュラムにおいて、音楽の授業が減少する現状を憂いていたところ、拙著『ハーバードは音楽で人を育てる』に出会ったとのこと。アメリカの大学におけるリベラル・アーツの考え方や、その中の音楽の位置づけなどを知り、「なぜ音楽(器楽)の授業をするのか?生徒に何を伝えるべきなのか?」をあらためて自分自身に問いかけ、やはり音楽の授業は必要だと確信し、論文を書くきっかけになったそうです。 論文には、小川先生が開発した「ラルモニー(l'Harmonie)合奏教育メソード」をとおして、演奏経験や技術の異なる学生たちをどう束ね、楽曲を決め(バッハ、ヘンデル、サン=サーンス、校歌の編曲等)、どう授業を進めたのか、その工夫に富む授業内容や学生たちの成長の経過が記されています。学生の皆さんは、演奏映像の自己評価を通して、お互いの音を聞きながらより良い演奏を模索したり、自ら主体的に音楽へ関わるようになったりと、一年で大きく成長したようでした。 なお合奏授業の意義として、「音色・音域・解釈の多様性」から合唱以上に教育効果が期待できること、今できる最高の美しさを目指すことで美意識を鋭敏にすること、が挙げられています。ご興味ある方は、ぜひこちらのPDFをご覧ください!
名門進学校では音楽や芸術の教育にもしっかり力を入れているのが印象的です。以前取材した開成中学・高校や、東京学芸大附属国際中等教育校でも充実した音楽の授業が行われていました。こうした独創的な授業が広がるといいなと思います。