• essugano

過去を振り返り、共に未来を見ること


5月27日、オバマ大統領が現職米大統領として初めて広島を訪問されました。17分間にわたるスピーチは、広島、長崎の被爆者の方々、また世界中の戦争被害者にも配慮され、バランスの取れた深い人間性を感じさせるものでした。声高な”change”ではなく、一歩ずつ共に平和を築いていきましょうという静かで強い意思を、広島から世界に発信されたことに、重要な意味があったと思います。こちらはスピーチ全文の日本語訳です。

オバマ大統領の広島スピーチ全文 「核保有国は、恐怖の論理から逃れるべきだ」

(5/28 ハフィントンポスト)

この記事が冒頭で引用している”恐怖の論理”とは、戦争や核だけでなく、見えにくいけれど実は様々なところにあるもの。その論理から逃れるべきだというこの言葉には、この問題は究極的には人間の本質に関わるものであり、それに向き合うことがいかに時間のかかることかを承知しながらも、真剣に立ち向かっていかねばならないという強い信念が感じられました。このスピーチは深く響いていきそうです。

ところで10年ほど前、ジョン・アダムス作曲、ピーター・セラーズ脚本のオペラ「ドクター・アトミック」(2005年)が、サンフランシスコ交響楽団によって世界初演されました。原爆の父と言われたオッペンハイマー博士を中心に、苦悩する研究者という視点から原爆開発と投下までの様子を描いた作品で、そのエピローグに広島の声が流れます。脚本には、機密解除された政府文書や関係者資料、またボードレールの詩などが引用されています。2013年全米オーケストラ連盟大会ではこの交響曲が演奏されました。米国では、戦争終結のためとして原爆投下を正当化する教育がなされてきたようですが、21世紀に入り、過去を客観的に振り返り、その倫理を問い直す姿勢が高まっているのではないかと感じます。


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