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10代の1年間・・・その爆発的な成長ぶり


帰国直後に赴いたピティナ・ピアノコンペティション特級。グランプリとなった阪田知樹さん(Tomoki Sakata, the Grand Prize winner of 2011 PTNA Piano Competition)は大変存在感のある演奏を聴かせてくれました。

実はこの1年半で4回ほど本番を聴いていますが、その成長スピードの速いこと!それも凄いのですが、それより知性と感性がバランスよく伸びていることに感心したのでした。・・恐るべき17歳。 初めて本番を聴いたのは、昨年5月ユトレヒトで行われたリスト国際ジュニアマスタークラスでした。修了コンサートでリストの「鬼火」等を弾いていましたが、さらっと流れるような演奏だったのを思い出します。

それから約1年後、同地で行われたリスト国際コンクールではポロネーズ1番・2番、巡礼の年第2年・イタリアなどを弾き、その演奏にぐっと奥行きが出てきたのが分かりました。まだ歌い方には慎ましさが見えるものの、随分成長したなぁと思ったのでした。結果はセミファイナリストとなったわけですが、そこで本人なりに色々悟ったらしく、その直後からまたぐんと感性が伸びた気がします(露・クレムリン音楽祭)。そして8月。特級セミファイナルでは、narrativeとshapeがよく考えられたベートーヴェンのソナタ15番田園、ホールの音響を巧みに生かした武満徹『雨の樹・素描II』、緩急自在で弾力性と意外性にあふれるラヴェルのスカルボなど、見事に各曲のキャラクターを描き分けて表現していました。ファイナルのリスト協奏曲1番(映像)は初めてとは思えないほどの伸びやかな演奏で、見事にグランプリに輝きました。

もともとテクニックと知性がありましたが、何より感性が伸びたのが素晴らしいですね。おそらく様々な体験や対話を通じて(参考)、気づきがもたらされたのでしょう。たとえば教わった知識ばかりに頼ってしまうと「これはこういうものだから」と思考が硬直したり、「そんなの無理」と無意識に感覚を抑えてしまうことがありますが、常に「なぜこうなんだろう?もっと何かできないだろうか」と感覚をオープンにして物事にトライし続けていると、その最中は大変ですが、自分で答えを見出した時の感動がありますね。あるフランス人の作曲家が「人間は感覚の発達によって成長する」と言っていましたが、やはりその通り。10代の1年間というのは、凄い成長の可能性を秘めているんだな、と改めて思いました。もちろん成長に年齢は全く関係ないのですが、爆発的な伸びはやはり10代ならではと感じます。

#音楽教育 #若い才能

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