- essugano
根源的な生命力の逞しさ~チャリティコンサートより
先日表参道で開催された、國谷尊之&根津理恵子・東日本大震災チャリティーコンサートにお伺いしました。理恵子さんは2005年度ショパン国際コンクールファイナリストで、現在は国内外で活躍を広げています。私が学生時代に師事していた根津栄子先生のお嬢様でもあります。この日の演奏会は、仙台にご縁のある理恵子さんが、友人達の協力を仰ぎながら自力でチラシ作成や会場手配などを進めてきたもの。ショパンの英雄ポロネーズやチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲(連弾)など、素敵な演奏を聴かせて頂きました。ホール別室には理恵子さんが被災地で撮影した写真や現地から送られてきた写真、被災の状況を伝える新聞記事などがずらりと並べられていました。その中に、津波で全てをさらわれた土地から力強く生えてきたネギの写真も。生命の逞しさを感じずにはいられません。休憩前のインタビューコーナーでは「実際に被災地に赴きましたが、『復興』という言葉を安易に使ってはいけないと思いました」と、理恵子さんなりに感じたことを語っていました。(司会はTBSアナウンサー・柴田秀一氏) 大震災から2か月経った今でも、まだ行方不明者が後を絶たず、瓦礫の山が残ったままの地域も多く、眼の前の現実に目を向けることも難しい状況であるかもしれません。しかしその足元では、今まさに1本のネギが逞しく伸びようとしている。理恵子さんの英雄ポロネーズは、根源的な生命力を呼び覚まされるような力強さに満ちていました。