音を知覚するプロセス・第5ステージ
聴いて創る、未来のヴィジョン

●予測不能な時代、一人一人が創り手に

現代はVUCAの時代、つまり複雑で不確定な時代といわれます。そんな時代に求められているのは、普遍的な価値観を身につける力や、自ら新しい環境を創造していく力。ソロで活動するアーティストやフリーランサーだけでなく、企業で働く社会人にもそのような力が求められてきています。実際アメリカや国内の企業では、社員の自発的なパフォーマンスを高めるため、企業内大学の設置や、組織内部署の壁を取り払ったコミュニケーションの活性化などが広まっているようです。つまりトップダウンではなく、社員一人一人の創造力を引き出すことが、結果として事業全体のボトムアップにつながるという考え方です。

ではどうやって創造力を引き出すことができるでしょうか?従来の思考枠からアイディアを生み出すこともできると思いますが、それだけだと第3ステージ(論理)に留まってしまう可能性も。すると、潜在的な問題を発見したり、本質的なイノベーションには繋がりにくいかもしれません。

●創造力の源泉は?人間の本能と結びつく聴覚

そこでまず、創造力の源泉に立ち戻ってみるのはいかがでしょうか。実は「音を知覚する5つのステージ」の第1ステージ、つまり「根源的な欲求や情動を感じる」ことが鍵になると考えています。「いま、社会で何が求められるているのか」を考える時、まず原点に立ち戻り、フラットな状態でこの問いに向き合ってみることで、新たに気づくことがあるでしょう。聴覚は人間の本能と結びついています。また実業家や経営者の脳は、聴覚が発達していると言います(加藤俊徳『男の子は「脳の聞く力」を育てなさい』)。自分の感覚に対して繊細に耳を傾けることは、他者の感覚や欲求を感知したり、世界や自然の動きを感じとることにもつながります。

同時に、視野を広げることも大事ですね。自分とは異なる分野や世界にヒントを求めたり、自分の分野を広い視点から俯瞰することで新たなヴィジョンに気づくこともあるかもしれません。ここにリベラルアーツの学びが効いてきます。そうしてアイディアの断片を拾い上げ(第4ステージ)、集約し、輪郭を与え、今まで培った思考力や技法を活かしながら具現化していきます(第5ステージ)。

●創造の第一歩は「自分ならどうするか?」

創造といっても様々な形があります。芸術でいえば、作曲する、詩を書く、絵を描く、デザインする、などが思い浮かびますがそれだけではありません。たとえば、楽曲に込められた理念や意図を理解した上で、その世界観を伝えるプログラムを構成したり演奏するのも(再)創造といえるでしょう。「なんで自分はそう考えるのか?なんで今それなのか?」を考える時、自ずと創造的思考になっているはずです(拙著『未来の人材は「音楽」で育てる』では、大作曲家によるさまざまな創造のプロセスを紹介しています)

 

また、主体的に自分の道を切り拓くこと、新しい環境や世界観を創り出すこと、今より少しでも良い未来のヴィジョンを描くこと、それを具現化する方法を考えること、すでにあるものを活かしたり組み合わせることで問題解決すること、なども創造です。

創造とは拡散的思考と収束的思考の繰り返しによって生まれると言われますが、上記のプロセスでいえば第4~5ステージにあたります。想像を膨らませた上で、「自分ならばどう考え、表現するのか」と自分軸に戻ってくることが、創造への一歩を進めてくれるでしょう。

 →音を知覚するプロセス・第1~5ステージとは?

 →第1~2ステージ

 →第3~4ステージ

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感受力

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創造力

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